前の車のホイールが次の車で使えない
— 気づくのはたいていスタッドレスの季節
車を買い替えるときに「前の車で使っていたホイールを、次の車でも使いたい」という相談はとても多いです。とくに軽自動車やコンパクトカーにお乗りの方に多い印象があります。
気持ちはよく分かります。スタッドレス用にホイールを買ってあるなら、次の車でも使えたほうが当然お得です。ところが最近、これが通らないことが増えました。
使えないと分かるのは、たいてい冬の入り口
やっかいなのは、気づくタイミングです。
使えないことが発覚するのは、スタッドレスへの交換で持ち込まれたときがほとんどです。スタッドレスは純正より小さいインチを使うことが多いので、そこではじめて「入らない」と分かります。
つまり、気づくのは雪の降る直前です。買い替えから数か月経っていて、しかも急いでいる時期。そこから代わりのホイールを探すことになります。タイヤ屋が最も混み合う時期でもあるので、選択肢も限られます。
買い替えを検討している段階で確認しておけば、この事態は避けられます。夏のうちに一度、次の車の純正サイズと、手持ちのホイールのサイズを突き合わせておいてください。
なぜ使えなくなっているのか
1. 純正ホイールの大口径化
いちばん大きいのはこれです。新型車はホイールの大口径化が進んでいて、ホイールサイズとタイヤサイズの組み合わせが、これまでの車両とは変わってきています。
CALDRIVE で収録している国産人気車種50台の純正ホイール径を数えると、こうなっていました。
| 純正ホイール径 | 収録車種数 |
|---|---|
| 14インチ | 18車種(軽自動車が中心) |
| 15インチ | 11車種 |
| 16インチ | 8車種 |
| 17インチ | 4車種 |
| 18インチ | 6車種 |
| 19インチ | 3車種(プリウス・ヴェルファイア・クラウン クロスオーバー) |
たとえばプリウスの現行型は純正が 195/50R19です。ひと世代前の感覚で17インチのスタッドレスを用意していたら、そのままでは収まりません。
そして重要なのは、これが「同じ車種の乗り換え」でも起きるということです。同じ車名でモデルチェンジしただけでも、ホイールとタイヤの組み合わせが変わっていて外径が合わない、ということが実際にあります。「同じ車だから大丈夫」とは考えないでください。
2. ブレーキの大型化による干渉
大口径化と並行して、ブレーキも大型化しています。そのため、インチが足りないホイールはキャリパーに当たって入りません。
スタッドレスでインチを落とそうとしたときに、まさにここで止まります。「去年まで履けていたサイズ」が、車が変わると履けなくなるわけです。
3. 車両側の突起物との干渉
新型車では、電動パーキングブレーキの保護を目的としたブレード状の部品が車両側に付いていることがあり、これがホイール内側と干渉します。この件は 持ち込みホイールが付かないとき に詳しく書きました。
4. 別のメーカー・別の車種なら、そもそも取付規格から違う
まったく違うメーカーや車種に乗り換えた場合は、インチ以前にPCD(ボルトの取付ピッチ)やタイヤ・ホイールサイズの違いで付けられないことがあります。
そして、同じ車名でも取付規格そのものが変わることがあります。いちばん分かりやすいのがプリウスです。
プリウスは50系が PCD100、現行の60系が PCD114.3 です。同じ「プリウス」でも、50系のホイールは60系にはボルトの位置が合わず、そもそも取り付けられません。インチやタイヤサイズを合わせる以前の話になります。
収録データを見ると、同じトヨタの中でも構成はかなり分かれています。
- 収録50車種のうち、PCD100・4穴が28車種(軽自動車とコンパクトカーの多く)
- PCD114.3・5穴が15車種。現行プリウスもこちらです
- ヴェルファイアはPCD120、ランドクルーザー250はPCD139.7・6穴・M14×1.5と、独自の構成もあります
軽自動車やコンパクトカーの多くが PCD100・4穴なので、その中での乗り換えなら規格が合うことは多いです。ただし規格が合うことと、実際に装着できることは別です。上の1〜3が残ります。
現場では、どう確認しているか
「前の車のホイールを使いたい」と言われたとき、当店では純正・社外を問わず、基本的にすべてのサイズを確認してから適合を判断します。インチ、リム幅、インセット、PCD、穴数、タイヤサイズ。ひとつでも抜けると結論が出せません。
ひとつ補足しておくと、社外ホイールの場合、ハブ径は無視できます。社外ホイールは中心の穴が大きめに作られているものが多いためです。ネットでは「ハブ径が合わないと付かない」という説明も見かけますが、社外ホイールを前提にする限り、そこは判断の分かれ目になりません。
買い替え前に控えておくとよいもの
- 手持ちホイールのインチ・リム幅・インセット(ホイール裏の刻印。例: 15×5.5J +45)
- PCD と穴数(例: 100・4穴)
- 組んであるタイヤのサイズ(例: 165/55R15)
- 次の車の純正タイヤ・ホイールサイズ
この6つが分かれば、使えるかどうかの見当はかなりつきます。ホイールを外さなくても、刻印は裏側から覗けば読めることが多いです。
調べるのに使えるもの
CALDRIVE の 車種別タイヤサイズページでは、国産人気車種の純正タイヤ・ホイールサイズに加えて、1インチ下げたときの候補(インチダウン)も載せています。スタッドレス用にインチを落とせるかどうかの当たりをつけるのに使えます。
手持ちのタイヤと候補サイズの外径差は TireDiff で、PCD・穴数・締め付けトルクは TorqueSpec の車種別ページで確認できます。いずれも登録不要です。
ただし、ここまで書いてきたとおり最後はキャリパーや車両側の突起物との干渉がありますので、数値が合っていても現車に当ててみるまでは確定しません。数字は当たりをつけるためのもの、とお考えください。
まとめ
- 乗り換えでホイールを引き継ぎたいという相談は多い。軽自動車・コンパクトカーの方に特に多い
- 使えないと気づくのはスタッドレス交換のときがほとんど。純正より小さいインチを使うため
- つまり気づくのが雪の直前になる。買い替えを決める前に確認しておくのが正解
- 原因は純正の大口径化。ホイールとタイヤの組み合わせが従来と変わっている
- 同じ車種の乗り換えでも外径が合わないことがある。プリウスのようにPCD が変わった例(50系100 → 60系114.3)もある
- ブレーキの大型化でインチが足りないと干渉する
- 社外ホイールならハブ径は気にしなくてよい
- 判断にはすべてのサイズが要る。ひとつ欠けると結論が出ない
本記事の内容は、実際の作業経験にもとづく個別の事例です。車種・年式・グレードによって純正サイズも取付規格も変わります。掲載している収録データは執筆時点のもので、装着可否は必ず現車でご確認ください。